何度も振り返って手を振る



木曜日の帰り道、また独りになってトボトボと駅に向かっていたら、ちょっと不思議な光景に出会いました。
十字路の交差点、12時の方向へ渡った初老の男性が、3時の方向で立ち止まったままずっと男性を見ている初老の女性に、何度も振り返って手を振るのです。わたしはそれを見ながら、9時の方向へ渡り、何度も振り返ってその二人を見ていました。次第に男性の方はわたしの視界から外れてしまい、かろうじて視界に入る女性を確認していたのですが、こんなに何度も振り返っていては、ただの不信者だし危険者なので諦めて前を向いて歩くことにしました。
そのため、その二人の結末を見届けることは出来なかったのですが、そんなに何度も振り返って別れを惜しんでいる二人を見たのは久しぶりのような気がしたので、このことを書いておかずにはいられなかったのです。