30年分のコレクション

miwakiti2008-01-15








3連休の最終日。
昨日、中之島のとある国立の美術館に行ってきた。
ついこないだ正月で実家に帰っていたので、
つい人恋しさがくせになってしまったのか、
昼の間に、妹と外へ出て、
大阪に帰る方が少しは寂しさが紛れるような気がした。
寂しかったのは気持ちだけじゃなかったけど。


30年分のコレクション。
1971年、大阪で開催された日本万国博覧会のとある建物は、
1977年、現在の万博記念公園の中に国立国際美術館として生まれ変わった。
これは、その30年間の収蔵品をおみせしましょう。という企画展。
常設展示でこれらの収蔵品は月替わりペースでおめにかかることができる。
通常はB3フロアが企画展。
B2フロアがコレクション展示となる。
これが30周年記念であるので、B3、B2ともすべて所蔵品の展示。
それでもすべての所蔵品の数のわずか10分の1しかお披露目されていなかったらしい。
連休の最終日ともあって、人の数の多くて、
もっと静かに鑑賞したいなぁ。
これじゃあ、人を見にきたようなものだと思ってしまった。


数多くの名作を一同に介してみることと
たったひとつ気に入った作品の前で何時間も佇んでいられることと
どちらが究極に贅沢だろうと問われたら、
今の私なら間違いなく後者を選ぶ。
反芸術/非芸術という括りで展示されていた田中信太郎の「音楽」という作品。
かなり年代物の薄汚れたKAWAIのアップライトピアノの上部に、
白くペンキで塗られた蓋なしのやかんが底を壁に向けて積上げられている。
そのやかんの中には、
西洋人形の顔だけとか。
胴体だけとか。が、押し込められている。
時間がくると、上部に取り付けられている仕掛けが回り出し、
錘りが鍵盤に触れて音を鳴らす。
その強さは、錘りの落下速度によるので時には激しく、
時には消え入るような弱さで、
それは確かに「音楽」では、ないかもしれないけど、
たとえばこんな作品の前で一日中ぼーっと佇んでいられたら
どんなにか贅沢だろうと思った。


と、考えていることがいちばん贅沢だ。と思った。