黒いおばけちゃん




1こ100円パンのハロウィンゴーストぱんは、買ったとき、真っ白で目口など顔をチョコレートペンで描いてあった。オーブンレンジで温めすぎたせいで、黒いおばけちゃんになりました。ともだちが此の世界からいなくなって、五年経った。いまも折にふれ、彼女を思いはじめる。ひさしぶりに彼女が生きていたころ、送ってくれたメールを読んでみた。彼女は、死ぬまで、わたしに、ほんとうの病気のことを話してくれなかった。ともだちの友達は、彼女のことだから、話したつもりでいたんちゃうかな?話したと思って話してないことをわすれてたんちゃう?と、言っていたけど、わたしは、そのことがいまでも心臓に棘が刺さったまま抜けないでいて、彼女のことを思いはじめてしまうのだ。
さいごに元気な姿でランチをふたりだけでたべたとき、はじめて、阪神大震災であった自宅での被害のようすを話してくれた。そのとき、彼女が阪神大震災で遭った惨状に驚きながらも、いままで、彼女の個人的な話を、わたしはキイテいたようで、まったくきいていなかったのかもしれないとゆう驚きに気付いた。わたしは、いつのまにか、彼女のことを何でも知っているような驕りのようなおかしな自信をもっていた。
彼女とのつきあいは、職場からはじまり、急速に親密になった。共通の知り合いということもあり、好きな男性の話をしてくれた。きっとそのせいで、わたしはおかしな自信を持ってしまったのだ。こうして時間が経って思い出せば、彼女は、恋愛や結婚にとても執着していた。わたしにあからさまにそうと感じさせなかったのは、彼女がとても、いや想像以上に、賢明な恋愛体質女性だったからだ。