つかのま



目には見えない魔法使いに、頭から四六時中眠り薬を振りかけられているかのような眠たさで朦朧としながらも、なんとか仕事にでかけた三日間。
佐保川の満開の桜をみていたら、吸い込まれていきそうになった。
こんな眠気に襲われるのは本当に春のせいだけなのでしょうか。眠気のせいだからか、さいきん痛みに鈍くなっている。痛みがなくなったのかなぁ、と思っていたけど、そんなことはないわなぁ。眠いのをとるか、痛いのをとるか、本当に悩むとこです。
花粉のように眠り薬がばら蒔かれていて、うまいバランスで傷みの緩和をしてくれるのなら、ずっと春でいてほしいなぁ。
朝の八時四十分ごろの川沿いは、皆、足早で無口に満開の薄白色の傘のしたを流れてゆく。
わたしはひとり取り残されてゆく。こんなにやわらかくて白いしあわせは本当につかのま。わたしはまた眠ってしまう、眠ってはいけないのに。