OSAKAの街を透かして見る




台風19号の接近で13日の公演が中止になってしまった維新派『透視図』、20日に振り替えてもらった。湊町からのクルージングで妹と中之島GATEへ辿り着く夢は幻になっちゃって、恨んじゃいないけどやっぱり哀しいよ。妹には申し訳ないことしたけど、もう最後かもしれない大阪野外の維新派どうしても見たくて、友だちを誘っていった。
維新派の野外公演を初めてみたのは、1996年の『ROMANCE』だと思う。秋の夜の南港は無茶苦茶に寒くて、わたしは屋台村でシシカバブとゆう食べ物を初めて食べて感動したことを覚えてる。兎に角寒くて色んなことがうろ覚えだけど、度肝を抜く舞台装置だったことにも興奮した。その興奮のせいで、わたしはそのあと何回も維新派の野外を見た気でいたけど、このとき以来の野外だったようです。
維新派みるたびにサウンドトラックを買って帰ってしまいますが、最初の頃はカセットテープだった。屋台村でシシカバブも見かけなくなった。出演者も様変わりしてゆくけど、内橋さんのギターと由美さんの白塗りが今もある。
20日の屋台村の怪しげなステージでは、金佑龍と今西太一が歌っていた。時には激しく雨が降っていた夕暮れの宙に曲芸師が二人浮かんでた。野蛮な串焼きのかわりに、子どもが美味しそうに食べていた優しい味のドーナツをわたしも食べた。
維新派をフィルターにして様変わりしてゆく、大阪の明かりをずっと見ていた。時報がときどき止まってその時間だけが間延びしたかのように夢に引き込まれる。
この日はレインコートを着ていたからか寒さを感じるどころか、雨で蒸し暑いほどだった。こんなくらいのスリルを味わうことも、こんな夜の透視図も、ぼやけたわたしはすぐに忘れてしまうんやろな。