キツネの嫁入り

miwakiti2010-06-28





ついにタービンはわたしの元に戻ってきました。おお、愛しのタービン。
梅田まで直通のはずやった。だから、あずけた。座席に沈みこんでしまった人に。
透明のアクリルに封じ込められたタービン。あなたがあんなにも一生懸命飛ばし続けた機体は、今どこで飛んでんのやろうね。今もどこかで元気にしてるよね、きっと。嫁入り前、本体の塗料を剥がしたとき、ほんの少しタービンに剥がした色が付いた。それもなんか嬉しい朱い色。
十三で降りてトリスバーに行こう!一杯だけならいけますね〜!行こう行こう。…と、私たちは意気揚々と降りた。てっきり、タービンをあずけた人も一緒やと思ってた…。
それにしても、もう半年も経つのに、嫁に行った娘がおいていったもの、まだ捨てられないでいたんやね。大切に遺していたんやね。
トリスバーは、駅出てすぐのとこやった。どっかで見たことあるよな顔のマスターが虚な瞼で、焼豚ネギトーストを作ってくれた。あのマヨネイズ加減が絶妙。作り方が面倒臭いから、まとめて注文せな焼いてくれへん。マスターにしか作れないらしい。絶妙!カウンターが狭いからちゃうん。久しぶりに終電アワワアワワで帰った夜は、贈物ぜんぶ、トリスバーに行きそこね人にあずけてまい、花束だけを抱えて歩きながら、花嫁ってこんな気持ちになるのかしらん…と、ちょとだけ思う振りをした。
世界にひとつしかないこんな凄いものをわたしに、わたしにありがとうございました。