高速バスターミナル


なんだかホッとしていたら、もうこんな時間。
部屋の片づけも中途半端に、ためこんだビデオを見ていたけど、
23時も過ぎ、
この辺でおふろに入って寝ようと止めたところで、映ったTV。
『東京高速バスターミナル』
72時間を30分に凝縮した短いドキュメント。
途中からなのに、目がはなせなくなった。
どこかで見たことのあるような乗客たち。
58年連れ添う夫婦は、82歳と80歳。
好奇心旺盛な妻が高速バスで東京に行きたいと言ったのだそうだ。
最近、パーキンソン病と宣告されたので、
動ける内に行きたいところに連れていきたいのだと夫は言う。
日本で一番早い紅葉を探しにいく人、初めてのふたりだけの旅、
悩める迷子の大人、家族との別れ。
さまざまな事情を抱えた人たちを乗せているだけで、すでに、
二人交代制で運転する乗務員たちが抱えるものは相当に大きい。
安さと時間の節約を求めて、高速バスをたびたび使った。
体内時計の狂いを戻したり深刻なからだの痛みを癒すのに、
バスに乗っていた時間の倍以上の時間が要る。
ぞっとするのだ、あの狭い空間にまた揺られることを思うと。
でも、きっと私はまた乗ってしまうのだろう。
早朝の八重洲口を見たら、またわけもなく泣いてしまうのだろう。